こんにちは、yucafeです。
最近、小学校で『抱っこの宿題』を出す先生が増えているそうです。
私は日ごろから『いつまでも抱っこしてもいいよ』と伝えているので、この宿題には大賛成です。
今回は、抱っこの宿題の絵本と作文、そして元ネタについてお伝えします。
Contents
絵本の『しゅくだい』
yucafeの子どもたちが小さい頃はまだ見かけなかったのですが、最近は岩崎書店の『しゅくだい』というかわいい動物たちが登場する絵本が知られるようになりました。
対象年齢は幼児、小学生低学年ということで、EhonNaviによると、3歳児への読み聞かせが一番多くなってます。
絵本『しゅくだい』あらすじ
やぎのめえこ先生が「今日の宿題は抱っこです、家族のみんなに抱っこしてもらってください」と宿題を出します。
主人公のもぐらのもぐは、みんなの前では「やだー」と恥ずかしがりながらも、急いで家に帰りママに声をかけますが、赤ちゃんのお世話にかかりっきりのママは相手にしてくれません。
ママが買い物に行く時に「ぼくも行く」と言うと「もぐはお兄ちゃんなんだから赤ちゃんを見ていてね」と連れて行ってもらえません。
夕食時に宿題の話をお父さんやおばあさんに話すと、ママも「そりゃいい、早くやりましょう」と言ってくれました。
そしてママは、もぐが小さい頃に歌っていた歌をうたいながら抱っこしてくれました。
パパはぎゅーっと強く抱きしめ、もぐが「痛いよー」と言っても何度もぎゅーっとしました。
おばあちゃんは抱きしめながら「またこの宿題がでたらいいね」と耳元でささやきました。
その夜はぐっすり眠れたもぐ。
翌日、めいこ先生が「みなさん、なんだか元気ですね。宿題はやってきましたか?」と聞くと、生徒たちは口々に「はーい」と答え、もぐも負けないぐらい大きな声で「はーい」と返事をしました。
絵本『しゅくだい』感想
とにかく絵がかわいいのですよね。
たくさんの動物が出てくるので、それだけでも子どもにとっては見たくなる絵本だと思います。
内容的には、下の子が生まれてかまってもらえないもぐの寂しさ、そして『抱っこしてほしい』と口には出さないけど、抱っこしてもらうとうれしいこと、たくさんの人に抱っこしてもらって元気になれること…など、私が普段伝えていることがそのまま詰まった絵本です。
ママたちの反応
EhonNaviのレビューでは…
・私が時々読まなくてはと思いました。(30代、女の子5歳、女の子2歳)
・小学生になって甘えにくい年代の子におすすめ。(20代、男の子5歳)
・忙しそうに相手にしないママが私みたい、と反省。(30代、男の子4歳、男の子1歳)
と、かなり高評価で、ママたちもこのもぐのママと同じように『下の子ばかりでなかなか上の子にかまってあげられない』という現状で、その点でも上の子とふれあういいきっかけをくれる、この絵本であり、学校で先生が出す宿題になっているようです。
小学1年生の作文『だっこのしゅくだい』
絵本の『しゅくだい』で有名になってきた感がある抱っこの宿題ですが、もうひとつ小学1年生が書いた作文もあります。
それは神渡良平著『静寂の時間がいのちの根を養う』(致知出版社)という本の中で、第57回鈴木三重吉賞(平成17年)の優秀作品に選ばれた、広島県の小学1年生加藤大樹くんの作文『だっこのしゅくだい』として紹介されています。
また同じ神渡良平著『孤独になる前に読んでおきたい10の物語』(講談社)という本でも、上の『静寂の時間が…』の中で多くの読者から一番良かったと反響があった、と最初にこの作文が掲載されています。
そしてこの本を読んで感動した千葉市の市議会議員さんが「抱っこの宿題を学校で出してほしい」とのことで、この作文の部分をコピーして小学校の先生方に配ったそうです。
それがきっかけとなり、今や全国の小学校で宿題として出されるようになりました。
作文『だっこのしゅくだい』全文
せんせいが、「きょうのしゅくだいは、だっこです。おうちの人みんなにだっこしてもらってね」といいました。
ぼくもみんなも「ええーっ」とびっくりしました。
だって、だっこのしゅくだいなんて、はじめてだからです。
なんかはずかしいとおもいました。
でも、うれしかったです。いそいでいえにかえりました。
いえにかえって、すぐ、おかあさんに、「だっこがしゅくだいにでたんよ。しゅくだいじゃけえ、
だっこして」と小さいこえでいいました。おかあさんは「へえ、だっこのしゅくだいでたん?」とびっくりしました。
でも、すぐ「いいよ」とにっこりしていってくれました。
おかあさんはすわって、ぼくをひざにのせて、りょう手できゅうっとだきしめてくれました。
おかあさんのからだはぬくかったです。
だっこしてもらっていたら、ぼくのからだもぬくくなりました。ぼくが「おうちの人みんなにだっこしてもらわんといけん」といったら、
おかあさんがちっちゃいばあちゃんに「だっこしてやって」といってくれました。
ちっちゃいばあちゃんはわらって「おいで」といって、だっこしてくれました。
そして、「大きゅうなったねぇ」といってくれました。つぎは大きいばあちゃんにだっこしてもらいました。
大きいばあちゃんはぼくをだっこして「おもとうなったのう」といってくれました。さいごはおとうさんでした。
おとうさんはいきなりりょう手でぼくのからだをもちあげて、どうあげをしてくれました。
ぼくのからだはくうちゅうにふわっとうかんで、きもちよかったです。
おとうさんはぼくをゆっくりおろして、ぎゅっとだきしめてくれました。
おとうさんのからだはぬくかったです。ぼくはまたしてもらいたいとおもいました。
だっこのしゅくだいがでたから、かぞくみんなにだっこしてもらいました。
さいしょははずかしかったけど、きもちよかったです。だっこのしゅくだい、またでたらいいなとおもいました。
≪https://ameblo.jp/for-mom/entry-12441445168.html≫
今なら、著作権侵害で揉めそうですよね。
作文『だっこのしゅくだい』描写でわかる男の子の気持ち
絵本とは登場人物が微妙に違い、抱っこされる描写と男の子の気持ちがとても詳しく書かれてますよね。
まずは宿題が出された時に『えー』とびっくりして恥ずかしい気持ち、でもうれしさもあるから急いで帰ってます。
きっと抱っこしてもらうのが久しぶりなんでしょうね。
そしてまず最初はお母さんに小さい声で「抱っこの宿題が出た」ことを言うところも、まだ恥ずかしさが残っています。
ちいちゃいばあちゃんと大きいばあちゃんにも抱っこしてもらい「おおきくなったのう」とささやかれるところから、抱っこをすることで男の子の成長を実感しているのがわかります。
最後のお父さんは、お父さんらしくダイナミックに力強い胴上げ風の抱っこで、身体がふわっと浮いて気持ちがよかったんですね。
お母さんとお父さんの時には『からだがぬくい』という表現で、肌と肌の触れあいに温かさを感じていることが伝わります。
最後に…「恥ずかしかったけどうれしかった。抱っこの宿題がまた出たらいいなと思った。」と締めくくっています。
私的にはこの最後の男の子の気持ちが、この作文をみなさんにお知らせして伝えたい部分なんです!
口には出さないけど、抱っこしてほしいのが子どもたちの本音
『だっこのしゅくだい、またでたらいいなとおもいました。』
この文章こそ、少し大きくなった子どもも親に抱っこしてほしい、抱っこしてもらったらうれしい、という気持ちが表れていますよね。
ということは、小学1年生になると抱っこしてもらえない、抱っこしてと言えない現状が見えてきます。
「抱っこして」と言っても、もう大きくなったから、お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだから…と抱っこしてもらえないことが増えると、抱っこしてほしい、という気持ちさえも言えなくなってしまうんです。
でも口に出さないだけで、抱っこしてほしい…んです。
そんな気持ちがよくわかる作文ですよね。
抱っこの宿題、元ネタはどっち?
yucafeがこの『抱っこの宿題』に出会ったのは、2013年でした。
最初は小学1年生の作文をネットで知り、本の『孤独になる前に読んでおきたい10の物語』を購入し、全文を読みました。
その後、絵本『しゅくだい』を知ったので、てっきり絵本も小学校で出される宿題も小1作文が元ネタだと思ってました…が、色々と調べてみると、ちょっと違うようです。
あくまでも、世に出た時系列では
・絵本『しゅくだい』の出版は2003年(平成15年)
・作文『だっこのしゅくだい』の受賞が2005年(平成17年)
・作文を紹介した『静寂の時間がいのちの根を養う』の出版は2006年(平成18年)
ということで、絵本の方が先なんですね。
元ネタについての考察
上の世に出た時系列から考えて…
広島の小学校の先生が絵本の『しゅくだい』を読んで、自分が担任をしている小学1年生のクラスで『抱っこの宿題』を出した。
↓
その宿題を出された男の子が作文『だっこのしゅくだい』を書き、受賞。
↓
その受賞を知った神渡良平さんが著書で紹介した。
↓
それを読んだ市議会議員さんが感動して小学校に薦めた。
のではないかと。
あくまでも、yucafeの考察です。
小学生に抱っこの宿題?元ネタの絵本と小1作文と子どもの本音、おわりに
幼稚園でも『もう大きいんだから抱っこなんて恥ずかしいよ』と言って、ママが抱っこをしない場面によく出くわします。(中には、幼稚園の方針として『抱っこしない』と決めているケースもあって、私的にはビックリしてます!)
もちろん色んな都合や状況があって抱っこできないこともあるでしょう。
でも『子どもは大きくなってもママに抱っこされるとうれしい』ということを頭に入れておいてほしいのです。
子どもたちは「抱っこして」と言わないから抱っこしてほしくない、ということではないんです。