子育て

ベビーマッサージの歴史と悲惨な実験が示すスキンシップの重要性

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yucafeは以前、ベビーマッサージ講師をしていました。

そこで学んだ人が人として育つために最も重要なスキンシップ、そしてベビーマッサージやふれあいの歴史と実験についてお伝えします。

ふれあいの歴史

受精卵が細胞分裂を始めて約2週間で、外胚葉から神経と皮膚が形成されます。
肌(皮膚)自身にも歴史があり、人類においても肌に触れること(スキンシップ)には様々な歴史があります。

ベビーマッサージの歴史

最近のママにとってはお馴染みのベビーマッサージですが、その名前で呼ばれるようになってからまだ日は浅いのです。

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世界中で行われてきた伝統育児

元々、誕生時から赤ちゃんに『触れる』『撫でる』行為は、情緒的にも肉体的にも健やかに成長するという認識の元、伝統育児法として世界各地で行われていました。

例えば、インドでは母から子へと3世代以上にわたり、その家庭独特のオイルを使ったマッサージが伝承されています。

 

『抱かない触れない育児法』

そんな伝統育児を否定する育児法が19世紀末に台頭します。それが『抱かない触れない育児法』です。
この当時、欧米(先進国)では産業革命が起こり女性の労働力が必要になってきたことから、育児の合理化を図るため赤ちゃんをコントロールする育児法を提唱する学者が台頭してきました。

またこの『抱かない触れない育児法』によって、赤ちゃんの成長を促すことができ、独立心、自立心も早く養われると思われていました。

抱かない触れない育児法具体例

・泣いても抱き上げない
・一緒に寝ない
・機械的に扱う
・ミルクは一定の時間に与える
・ハグをしない…
など

今となっては信じられない育児法ですが、効率よく育児をするためには赤ちゃんをコントロールし、甘えを許さない…という考え方の元に実践されていました。

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なぜ見直され始めたのか

やがて、親子間の触れ合いが減ったことが影響とみられる社会問題(少年事件や親の育児ノイローゼ、等)が多発し、また同時に様々な研究によって赤ちゃんや子どもが肉体的、情緒的、知的に健やかに成長するためには『皮膚刺激』=『触れる』ことが重要な役割を果たすことがわかってきました。

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ベビーマッサージの始まり

そして1980年頃にイギリス人理学療法士のピーターウォーカーが『ベビーマッサージ』を考案し、現在では世界20ヶ国以上で実践されています。

世界20カ国以上の人々を、ベビーマッサージ講師として育成し、ピーター・ウォーカー公認講師は世界で10,000人以上にもなりました。
日本においては、2003年よりベビーマッサージ協会が講座を主催し、現在に至るまでに全国各地に1,200名以上の公認講師を育成しています。

英国Greenwich大学にて教鞭をとった経歴を持ち、英国政府機関(National Health Centre)の講師として、イギリス国内にて年間400名の助産師、看護師、保健師を含む医療従事者に教授しています。
≪引用元:ベビーマッサージ協会『ピーター・ウォーカーについて』

yucafe
yucafe
ベビーマッサージを伝える講師で知らない人はいない(と思ってる)…ピーター・ウォーカーさん。
残念ながら、Wikipediaには載ってませんでした。

日本の『触れる』歴史

日本でも昔からの伝統として、抱っこ、おんぶ、添い寝など親子の触れ合いは日常的に行われていました。

特に江戸時代には東洋医学を学んだ医者が子どものいる家庭を回り、病気予防や健康増進のために『小児按摩(しょうにあんま)』と言われるマッサージをしていたことがわかっています。(読んで字のごとく、『ベビーマッサージ』ですよね。)
中国の伝統的なマッサージである『小児推拿(しょうにすいな)』を元に、日本人の体に合わせて改良したものです。

しかし、その習慣も第二次世界大戦後の西洋文化の流入により失われていきます。
(生活、住宅の西洋化・粉ミルク、流動食の早期化・スポック博士の育児書、等)

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世界に見る悲惨な実験

神聖ローマ帝国フリードリヒ2世の実験

フリードリヒ2世,実験,スキンシップ,ふれあい,悲惨≪Wikipediaより≫

フリードリヒ2世は自らが多言語を話せたことから、『言葉を教わらないで育った子どもはどんな言葉を話すのか』という疑問を持ち、50人の赤ちゃんを集め実験を行いました。

実験は、赤ちゃんに対して栄養(食事)、清潔、排泄物の処理だけを行い、話しかけることや触れ合うことをせず機械的に育てることを徹底するという内容でした。

その結果、生きていくための栄養や環境は整っていたにも拘わらず、赤ちゃんは全員亡くなってしまいました。
※2つのグループに分けて実験した、という説もある。

フリードリヒを敵視する僧侶サリンベーネ(英語版)が著した年代記には、彼が行った実験が記録されている。その一例として、教育を受けていない子供が最初に話す言語を知るため、乳母と看護師に授乳している赤子に向かって何も話さないように命じた実験がある。しかし、育ての親から愛情を与えられなかった赤子たちは全て死に、フリードリヒの苦労は無駄になった。≪引用元:Wikipedia

yucafe
yucafe
とても悲惨な実験であることには変わりはないですけど…
もともとの目的は『どんな言葉を話すのか』ということなので、スキンシップについて実験したわけではない、と思ってます。

心理学者ルネ・スピッツの実験

第2次世界大戦後のスイスで、心理学者ルネ・スピッツは戦争孤児(乳児)55名に対して実験を行いました。

最高の施設に入れ優秀な保母や看護婦から面倒をみてもらうが、一切スキンシップをせずに人工乳を与えたところ、27人が2年以内に病気で死亡、残ったうち17人も成人前に死亡、11人は成人後も生き続けたが、その多くは知的障害や情緒障害がみられたと言われています。
※人間的なスキンシップを一切しなかった、との説もある。
※世話をする人が親かどうかの違い、との説もある。

yucafe
yucafe
フリードリヒ2世と違い、Wikipediaに実験についての記載がない上に、ググって出てくる記事に書かれている国際なんとか協会も実態がつかめず、もしかして眉唾物か?とソースを探していたら、こんな資料が見つかりました。

ルネ・スピッツの乳児観察映像集成(全9巻)
9巻570,000円也…

どなたかご購入の際には見せてください。

 

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ベビーマッサージの歴史と悲惨な実験が示すスキンシップの重要性、まとめ

ポイントは3つ

・ふれあう、スキンシップは伝統育児
・子どもが情緒的肉体的に健やかに育つには『皮膚刺激』が必要
・どんなにいい食事、環境があってもスキンシップがないと子どもは育たない
です。

スキンシップやふれあいが子どもにとって必要ってことは、ほとんどのママがご存知だと思います。(もちろん子どもだけじゃなくの人も動物も…)

だからベビーマッサージやベビーダンスなど、赤ちゃんとママの教室がとても盛んなんですよね。

そして…赤ちゃんより少し大きいお子さんとも、たくさんふれあってくださいね。

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